提橋和男の新管理人のつぶやき
(2007/05/10)

提橋和男の新☆管理人のつぶやき 996

挑戦、男たちの詩74

夢はあきらめない。信じて努力すれば必ずかなう
        阪神ー巨人三連戦、狩野恵輔捕手活躍す!!

代打で巨倒、7年目狩野・プロ初安打がサヨナラ
12回3点差逆転!!


<阪神5−4巨人>◇20日◇甲子園
 阪神が逆転サヨナラ勝ちを飾った。巨人との伝統の一戦で、狩野恵輔捕手(24)がミラクル劇の主役になった。1−1の延長12回表、巨人が3点を勝ち越し。だがその裏、守護神・豊田を攻め、1死一、二塁から鳥谷の2点適時二塁打、続く赤星の右前適時打で同点。その後2死一、二塁から、巨人は今岡を敬遠。ここで今季初打席の代打狩野が左翼へサヨナラヒットを放った。狩野にとってプロ7年目の初安打。阪神が奇跡的な勝利で貯金を1とし、3位に再浮上した。

 劇的な幕切れだった。狩野は右手を上げ、一塁ベースまで駆けた。ベンチを飛び出したナインの祝福を受け、歓喜の輪の中で最高の笑みが浮かんだ。延長12回、まさに最後の攻撃。3点差を執念で追いつき、追い越したミラクル劇の主役に、ビックリの男が躍り出た。2死満塁で大殊勲のサヨナラヒットは、狩野にとってプロ7年目の初安打だった。
 狩野「無我夢中でした。これが初ヒットなんですけど、こんないい場面で打ててうれしいです。最高です。今岡さんが敬遠され、絶対に打ってやろうと思っていました」。
 初体験のお立ち台で、興奮する甲子園のトラ党の歓声を一身に浴びた。今季の初打席。プロ通算8度目の打席は、思ってもなかった場面で回ってきた。1−1のまま延長12回表、江草の失策もあって、大きな3点を失った。その絶望的な状況で打線が目覚めた。1死から藤本、林の連打し、鳥谷の適時二塁打で1点差に詰め寄った。なお三塁のチャンスで2番赤星が、右前へ同点適時打を放った。
 2死後、金本の中前打で一、二塁。巨人は今岡敬遠で満塁策を選択した。続く投手の打順で送る代打が、狩野とルーキー清水だけだった。狩野の打球が左翼へ転がると、赤星が決勝ホームを踏んだ。狩野と赤星は同期入団。「特別な思いがあった。走者でいて『絶対に打ってくれ』と気持ちを込めていた。涙が出そうになった」(赤星)。
 ベンチを出る前、狩野は岡田監督に呼び止められた。プロ入りから2年間、体づくりに励んだ当時の2軍監督だ。「速球だけを思い切って振ってこい」と檄(げき)を飛ばされた。
 狩野「監督の言葉で楽になったし、ファームからチャンスをもらって見逃すのだけが嫌だった。2球目は初球より高めにきたフォーク。思い切りです!」。
 岡田監督は「狩野が本当に…。こういう野球もあるということ。狩野のこと書いたってくれや」と声を震わせた。入団時から育成した若トラが、大きな勝利をもたらした。前夜はナゴヤドームで、中日に6点差をひっくり返されたばかり。「負けてたまるか」という執念が狩野の全身を包んでいた。
 巨人の選手が投げ込んだ初安打のボールは三塁アルプス席のファンから返してもらい、岡田監督から狩野へ「おめでとう」と贈られた。「1軍で監督の勝利に貢献できてうれしい。もちろんレギュラーを目指しますが、代打でも頑張ります」。高卒7年目の捕手が、長い下積みの苦労を最高の幸せに変えた。【町田達彦】

[ 4月21日 9時57分 日刊スポーツ ]

狩野、プロ初弾

連夜の大当たり、初球ガツン!!

大歓声が呼んでいた。マンモスが揺れていた。熱く燃え上がった瞬間が、確かにあった。プロ初安打がサヨナラ打という、衝撃の一振りから一夜、スタジアムに残った熱は、簡単には冷まさない。狩野が、プロ初アーチを含む猛打賞。敗れても前を向けるのは「新星」の輝きがあったからこそだ。
「打つ方は、向うも僕のことを知らないでしょうし、思い切っていこうと思ってました。勝てればよかったですけど、負けたんで」
無心で白球に食らいついた。一回左前打で出塁すると、続く四回の2打席目、一死無走者の場面だ。打席に向かうと、自然とスタンドから声援が飛ぶ。拍手が巻き起きる。高まる期待を背中で感じ、バットに託した。久保の投じた初球の143キロ直球。迷うことなく振り抜くと、夜空に一直線に伸びて、バックスクリーンへと消えた。
「前の打席で真っすぐを見逃して、変化球を打ったので、初球から真っ直ぐ1本で待っていました。空振りでもいいから、絶対に振っていくつもりでした」
固まる巨人軍を前に、1人駆け抜けたダイヤモンドだ。最高だ。岡田監督とタッチを交わし、仲間の手荒い祝福が待っていたベンチ前。
夢じゃない、あきらめないで良かった。
もうタテジマを着られないかもしれない。何度も覚悟した。プロ2年目、当時の岡田2軍監督から、足と打力を買われて外野で起用された。「これもチャンスです」。口では言っても、自然と頭によぎったという。「やっぱり考えるようになりました。クビになったら・・・と。テストを受けてほかのチームでやろうかなとか」
監督の評価はうれしかった。それでも負のイメージに支配されそうになる。他球団のユニフォームに袖を通す狩野恵輔ーーー。しっくりこない。似合うのはひとつだけだ。
「イメージがわかないというか、やっぱりタイガースだと思ったんです」。無限の可能性を感じた監督からの親心に喜び、悩みを乗り越えて覚悟を決めた。
あふれる野球センスは今、1軍の舞台で思う存分発揮されている。六回には右前打を放ち猛打賞。甲子園でよかった。タイガースでよかった。
「一生懸命やっている姿を出してくれたらいい」と岡田監督。
矢野をどこかでやすませることは決めていた。狩野をつかうことも頭にあった。チャンスはこれからも続く。
「明日も試合があるんで、反省して、出たとこはしっかりやっていきたい」。
悔やむのは、失った5点と敗戦。サヨナラ打の興奮を抱いても「普通に眠れました」と、迎えたこの日の活躍だ。奇跡とは呼ばせない。狩野の進撃が泊まらない。(道辻 歩)

ハッスル狩野、激走セーフ
         ベースの感触なしも態度出さず

これが勝ち試合だったら、もっと賞賛されたに違いない。だが試合に負けたからといって、プレーそのものが傷つくものでもない。それくらい狩野の見せた一連の走塁は迫力があったし、技術的なうまさが光った。いわゆる「カネのとれるプレー」だったと思う。
場面は2点を追う六回裏。一死から狩野が右前打で出塁した。マウンドに立っていたのは,2番手のベテラン左腕・野口。代打・高橋光が三飛に倒れた後、続く代打・関本が左中真っ二つに割った。さあ、ここからだ。狩野のもう一つの魅力が爆発する。
「スタートもよかったし、迷いがなかったね。三塁を回ったときのスピードも速かったよ」
一塁から二塁を回り、こちらに猛然と走りこんでくる狩野を見て,三塁コーチャーの吉竹チーフコーチは,当然のようにグルグル右手を回した。
スピードの乗った24歳は、獲物を狙って疾走するチータのごとく、本塁へと突っ込んで行った。
中継のボールが返ってくる。タイミングは微妙だ。ブロック体勢には入った捕手・阿部の左側を回り込むように突進する狩野。タッチをかいくぐった左手が、ホームベースを払った。1点差に迫る大激走。球審・有隅のコールは「セーフ!!」。
してやったりの若者は歓喜のベンチに戻ると、そこには笑顔の岡田監督が待っていた。一言二言声をかけられると,嬉しそうな笑みを浮かべた。

昨年のWBC決勝戦で見せたソフトバンク・川崎の「神の手」に匹敵するような”左手”だった。
足でもぎ取った2点目は,抜群の演技力のたまものでもあった。「(ベースを)払ってないかも知れないと言ってたな。でもあそこで(触りに)戻ったらダメ。その意味でもうまかった」と吉竹コーチ。
触った感触はなくとも,態度に出さず,何食わぬ顔して戻ってくる。このずうずうしさがまたいいじゃないか。
1試合マスクをかぶった試合後、狩野は右足を引きずるようにしてベンチから出てきた。ファウルボールをふくらはぎに当てたという。しかし、甲子園を十分沸かせたその足は,意外な掘り出し物ではあった。
(編集局遊軍・中村正直)[ 4月22日 デイリースポーツ ]

シラけムード消した!狩野2戦連発

 九回、狩野は連夜の一発を放ち、吉竹コーチとハイタッチ=甲子園  冷たい雨が降る甲子園に、最後の最後で歓声が沸き上がった。またこの男がやってくれた。阪神・狩野恵輔捕手(24)が九回に2号2ランを放った。左翼席に飛び込む連夜の一発。3カード連続負け越し、今季ワーストの10失点。大敗でも最後まで応援していた虎党は大喜びだ。虎の新星の進撃は止まらない。
 あと1人、あと一死…迫り来る大敗の屈辱に、力強く「待った」をかけた。旬の若虎が、あしき流れに逆らい、鋭くキバをむいた。うっぷんの象徴となった雨粒のカーテンを豪快に切り裂き、大歓声の花を咲かせる。ラッキーなんかじゃない。またも、狩野だ。3夜連続となる輝きだ。
 「(自分が守ってから)3点取られていたんで、何とかしようと思っていました」
 雨にぬれ、体を冷やしながらも声をからしたファンに、一発で熱をともした。敗色濃厚の九回二死一塁。がけっぷちの状況でも、この男が打席に向かうとスタンドのボルテージが上がった。初安打が宿敵を沈めるサヨナラ打、前夜は猛打賞を含むプロ初本塁打。自然と期待の歓声が起こる。拍手に包まれる。裏切ることなく、夢を届けた。
 「(狙いは)真っすぐだけです。真っすぐがきたら打とうと思ってました。結果が出てるんで、楽に打席に入れました」
 プレッシャーを背負わず、自然体で放った豪快な2ランだ。カウント1-1からの3球目。狙った獲物に食らいついた。真っすぐ伸びてくる内角低めの144キロを迷わずはじき返すと、左翼席にアーチがかかった。2試合連続となる号砲だ。
 ここぞの場面で、動物的な本能が光り続ける。自然に身を委ねた幼少期が原点だ。「親がダメって言うから、ファミコンを買ってもらえなかったんで」。小学生のころ、家にこもることなく、畑を走り回って体を養った。プロ入り後、そこに地道に磨きをかけてきた。恩人は、吉田バッテリーコーチだった。
 「プロに入って、ウエートとかやり方が分からなかったんです。でも、いつも康夫さんがそばにいてくれた」

九回狩野は連夜の一発を放ち吉竹コーチとハイタッチ=甲子園

 入団して1年目、自主的に虎風荘のウエートルームに向かうのが日課だった。吉田コーチが、待っていてくれた。
 「練習が終わってるのに、付き添ってもらってました。キャッチャーの話も聞いたりして。1軍で活躍することが恩返しかなと」。この日も「がんばれよ」と声を掛けられてベンチへ。忘れなかった絆が、大ブレークにつながった。
 「ナイスバッティングや。(右の代打の起用は)そら当然。ミツ(高橋光)が下にいってるから」と岡田監督。阪神の右打ちの野手で、唯一本塁打を記録している打力。この勢いを生かさない手はない。今後は貴重な代打としても起用される。活躍の舞台が広がった。
 試合前、祝福の声の中、悲壮な表情で語った決意。「まだ終われませんよ。これからです。ここまで6年、6年分のものがたまってます。まだまだです」。7年目の春に、ようやくつかんだチャンス。どん欲に切り開いたサクセスストーリーは、簡単に終わらせない。

[ 4月23日 デイリースポーツ ]