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提橋和男の新☆管理人のつぶやき 981-3
吉永みち子「言わぬ損より言った損」
=2/23スポーツニッポン=
長寿国の現実を伝える重い響き
介護現場での虐待
毎日新聞の1面で、人間が檻のようなものに閉じこめられたり、ベットに金具で拘束されたりしている写真を見た時は、がく然とした。一生懸命に生きてきても、年老いたり障害を持ったりして生活が困難になれば、このように人間の尊厳を保てないまま最後までの時を過ごさなければならないのかと思うと、怒りよりも悲しみの方が膨らんでくる。
団塊の世代が高齢に達する頃は、状況の悪化はあっても好転はまず期待できないだろうと言われると、自分の気持ちは閉じこるられたり拘束されたりしてる人たちと重なる。
だから第三者に「ひどい施設だ!」と憤ることもできない。どこにこの切なさを向けていいのかわからない。許しがたい人権無視という声はもっともだが、この事態以前にすでに、声が浮いてしまう状況が、要介護の高齢者にも、その家族にも、介護の現場にも充満しているんじゃないかと思う。だからこの施設を糾弾するだけですむ問題ではない。
この施設には、認知症や障害を持った26人が入所していたという。介護する職員は4人。時にはひとりで全員を世話することもあったようだ。総勢4人で24時間体制シフトを組むとなればありうる話だ。「他の患者をベットから引き下ろそうとするので仕方なく…」「危険防止のための行為を虐待といわれたらどうしていいかわからない」という職員の言葉は、自己弁護と切り捨てきれない重い響きがある。私は実際に介護を経験したことがないから、経験した人の話から想像するしかないのだが、大変苛酷な仕事だと思う。
自分の家族でも、結果的に疲れ果てて絶望し、殺害したり心中したりする事件が後を絶たない。
大変な仕事を、誇りだけで支えるには限界がある。限界を超えると気持ちはすさむ。労働に見合う報酬が支払われているだろうか。また入所者や家族から支払われた入所料は、有効に正しく運営に使われていたのだろうか。無駄も不正もなかったら、よりないケアのために人を増やしたり賃金を上げるには、入所費用を上げなければならなくなる。それで入所できなくなる人が出てきたら、もっと不幸な結果が待っている。さらに、この写真を提供した元職員と施設との関係も気になる。虐待していた施設はこれまでにもあったが、それは個人的な資質だけの問題だったのだろうか。
このままでは、20年後にはどうなることやら。介護保険制度は、状況に引きずられ充実の逆にいきそうだし、選挙で浮き足だっている政治からのメッセージは聞こえないし…。「うっかり長生きしたくねえなあ…」と友人が言い、私も思わず「そうだねえ」と答えた一部の金持ちしか長寿を喜べない国って、寿の字が寒々見える。(エッセイスト)
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