|
提橋和男の新☆管理人のつぶやき 974-2
一輪咲いても花は花 重体の巡査部長 気高い正義感
=iza: 02/08 02:20=
危険と背中合わせの職業とはいえ、あまりにも心が痛む事故だ。東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で、自殺志願の女性(39)を助けようとして、電車にはねられた警視庁板橋署巡査部長の宮本邦彦さん(53)。頭蓋骨骨折の重体で、予断を許さない状況が続いている。
女性 「私は死んだっていい。(邪魔をするなら)弁護士を呼ぶ」
宮本さん 「自分が悪者になってもいいから入るな」
6日午後7時半前。女性が踏切に入る直前、2人の間でこうしたやりとりが交わされた。宮本さんは両手を広げ、女性の前に立ちはだかった。
宮本さんは、踏切の目の前にある常盤台交番に勤務。池袋から普通電車で11分のときわ台駅に隣接する踏切は、交通量が多く、遮断機がすぐ下りてしまう「開かずの踏切」で、スピードを上げて無理に横断する車もある危険な場所だった。
そんな踏切で事故が起きないよう人一倍気を使っていたのが、宮本さんだった。夜遅い時間まで踏切の見える位置に立って見守り、高齢者が渡る際には笑顔で寄り添った。一時停止しない車を追いかけていって注意もした。「諭すように取り締まっていた」と近所の人はいう。
電車にはねられる前、助けようと、ホーム下の避難スペースに女性を押し込もうとした。「最後まで女性だけを見て、微動だにしなかった。電車から逃げようとせず、正義感の強い人と思った」(目撃した会社員)。
女性が重傷だったのに対し、宮本さんは意識不明で生死をさまようことになったが、いくつかの“不幸”が重なり、惨事は起きた。
当日、交番は3人態勢だったが、2人が事件処理をしていた。このため、宮本さんは1人で対応をせざるを得なかった。
帰宅ラッシュが終わる午後7時以降はホームから駅員が不在になる。ホームには、JR新大久保駅(新宿区)で転落した男性を救おうと韓国人留学生らが電車にはねられ死亡した事故=2001(平成13)年1月=を機に設置された、入線電車に異常を知らせる非常通報装置があった。しかし、ボタンを押す駅員はいなかった。踏切内に設置された列車に危険を知らせるセンサーも車などの障害物以外には、無力だった。
交番には果物や千羽鶴などの見舞品が届けられている。
巡査部長の行動について産経新聞の1面コラム「産經抄」(8日付)は次のように書いた。
彼の行為を知るにつけ、「一輪咲いても花は花」を思う。誰一人知らぬ間に一輪しか咲かなくても、そこには凛とした気高さがある。人知れぬ苦労をものともせず、他人を気遣う心があったのだろう。事件処理をぞんざいに扱う警官にうんざりしていたから、彼の一途さに打たれる。
おまわりさん良くなって。交番に千羽鶴
救出事故で重態・宮本巡査部長
東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で、線路に入った女性(39)を助けようとして電車にはねられた警視庁板橋署の宮本邦彦巡査部長(53)は、事故から2日たった8日も意識が戻らず、懸命の治療が続いている。「不審者から守ってもらった」「真冬の夜、酔客を懸命に介抱していた」・・・・地域の人たちにとって、宮本巡査部長は実直で優しい御巡りさんだった。常盤台交番には今、回復を祈る千羽鶴や花束が続々と届けられている。
★ ★ ★ ★ ★
宮本巡査部長が一昨年2月に配属された常盤台交番には近隣住民や地元小学校の児童らが千羽鶴や花束を持ち寄った。8日にも別の小学校から千羽鶴が届き、駅の利用客らも、交番の同僚に「自分より、都民を守ろうとする姿に感動した」「早く良くなって」と声をかけていた。
近くのツアーコンダクターの女性(49)も赤いバラを持って訪れた一人。昨年8月、買い物帰りの夕方、突然、不審な男に大声で脅され、同交番に駆け込むと、中へ導いてくれたのが宮本巡査部長だった。優しい言葉をかけられ、「警察は取り合ってくれないと思っていた」と思わず告げると、宮本巡査部長は表情を緩め、「そんなことないですよ。そのために交番があるのだから」と笑いかけてきたという。
この女性も5年前、夫を労災事故で亡くし、宮本巡査部長の家族の気持ちは痛いほど分かる。だから何とか回復してほしいと交番に駆けつけたという。
和菓子経営の栗原登喜雄さん(54)は底冷えがする昨年末の夜、路上に座り込む酔客に何度も声をかけ、肩を抱いて立ち上がらせていた時の光景が忘れられない。「温厚な人で踏み切りに入った女性を助けようとしたのは人柄そのもの」
区立富士見台小では7日朝の5年生の学年集会で、「千羽鶴を折ろう」という声が自然に上がり、児童約50人が折った千羽鶴を届けた。学年主任の飯塚栄子さん(55)は「みんな早く元気になってほしいと願っている」と話した。
=2007.02.09 読売新聞=
踏切事故・警官重体
東京・板橋区で、自殺願望の女性を身を挺して助けた警察官のことが頭から離れない。警察の不祥事が続発し、私もテレビや紙面で警察批判をしてきているわけだが、その度に本当にまじめに職務をまっとうしているはずのお巡りさんもいるのに…というやるせない重いもしている。その思いが、この53歳交番勤務の巡査部長の宮本さんというくっきりした姿で目の前に現れたような気がしてならない。何とか早く元気になってほしいと心から祈らずにいられない。
現場も知らないキャリアが幅をきかす警察組織が失いつつある信頼をも、宮本さんは身を挺して守っているともいえる。警視総監や警察庁長官は、深く感謝しなければならないはず。でも今日の報道まで、総監や長官が見舞いに駆けつけたという記事を、私はまだ見つけられない。まさか、まだ行ってない? 信じられない。
さまざまな当時の状況が事細かに検証されてくると、そこにいた人は何もできなかったという事実が浮かび上がってくる。何となく何もしなかったことが責められているような雰囲気も漂ってきた。
午後7時半。たくさんの人がホームにもいたようだし、非常ベルも設置され、監視カメラもあったはず。ホームに電車が入ったら、電車に急ブレーキがかかる装置などはなかったのか。駅員は何をしていたのか。
でも、もし自分がその現場にいたら一体何ができただろうか…と考えてしまう・とにかく駅員を探すだろう。でも駅員というのは、昔はホームにいたけれど、今はほとんどいない・だから駅での非常事態は乗客が非常ベルを押すしかない。
「非常ベルがどこにあるか知らなかった」と話していた人がいたが、私も、普段乗降している駅の非常ベルの場所を知らない。非常事態に、非常ベルを探して、押し方をそれから読んでたら間に合わない。しかし、普段、いたずらされることを恐れるから、非常ベルの存在も押し方もアピールされていない。乗客を基本的に信用していないのに、もっとも危険の集中するホームの危機管理を乗客にゆだねるというのは、駅の姿勢として何か釈然としないものがある。
では、たまたま非常ベルの真ん前に立っていたらどうだろうか。押した後、必要なかったということになったら…と迷うような気がする。
「余計なことしやがって」「電車が遅れて多くの人に迷惑をかけた」と責められないだろうかという心配がよぎるから。
必要なことは評価されるが、間違いは許されない。自己保身といわれればそれまでだが、身体が動くより先に頭が動いたら緊急時に対応できない。早速駅で非常ベルを確認し、後で非難の集中攻撃を受けようとも押すのだ!という覚悟だけは固めておかなきゃ。
(エッセイスト)
=2007年02月09日 スポーツニッポン=
|