提橋和男の新管理人のつぶやき
(2006/7/14)

提橋和男の新☆管理人のつぶやき 894-3

がんと闘う(6-3)

チルドレン1勝 「監督任せて下さい」


松中は右前適時打を放つ

戦列を離れた王貞治監督(66)にチーム一丸で勝利を届けた。エース斉藤和巳投手(28)が1失点完投し、打線も松中信彦外野手(32)や川崎宗則内野手(25)らが安打を重ね9点を奪って快勝。森脇浩司監督代行(45)は笑顔でナインを迎え、病室でパソコンを開いて戦況をチェックし、試合中2度も電話をかけてきた王監督を安心させた。8連敗中だった「魔のサタデー」にもピリオドを打った。

 小雨がそぼ降る杜(もり)の都仙台で、森脇監督代行が杉本投手コーチに背中を押された。押し出されたのは、ナインを出迎える祝福の最前列。胃の腫瘍(しゅよう)除去手術で入院中の王監督の“指定席”で、勝利のハイタッチを繰り返した。

 森脇監督代行「王監督がよく言われていたように、選手が『目をつり上げて』戦ってくれた。この1勝はいろんな思いが含まれた勝利。王監督がベンチにいても『手応えのある勝利だった』と言われると思う」

 エース斉藤和が1失点完投し、打線は大量9点を奪った快勝劇。森脇監督代行が満足の笑みを浮かべた。初回はDH起用した城所が3点三塁打。川崎は3度本塁を踏み、左翼に入った松中も7回に適時打。チーム一丸で仙台から300キロ離れた東京に朗報を届けた。

 病と向かい合う王監督もチームと一緒に戦っていた。CS放送の機材が整うのがきょう9日のため、病室での試合観戦はできなかったが、パソコンで試合状況を逐一チェック。さらに試合中は2度にわたり、チームに帯同する球団スタッフに携帯電話で戦況を尋ねた。

 「4回と8回に連絡があり、8回は『6対1か』と尋ねられました。9点取ったことを報告すると『そうか! 』と声を弾ませていました」とスタッフ。初回の城所の三塁打や斉藤の粘りの投球にも、心からの笑顔を見せていたという。

 試合前の全体ミーティング。森脇監督代行はナインに呼び掛けた。「王監督に不義理のないように、強い執念を持って戦おう」。王監督が目指し続けてきた頂は、3年ぶりの日本一。「不義理のないように戦えば、必ず目標達成できる」と森脇監督代行は言い切る。

 指揮官不在の衝撃を乗り越えた今季46勝目。「ウチは『王イズム』が浸透している。ベンチの雰囲気はいつもと変わりなかったし、多くの言葉は必要ない」と森脇監督代行。順位は2位と変わりないが、勝利数では西武と日本ハムに並んだ。

 数々の栄光に彩られた東京から離れ、福岡で指揮を執って12年。一貫して勝利への執念をチームに注入して、常勝軍団を作り上げた王監督。試合後には角田代表から報告メールも届いた。手塩にかけた「王チルドレン」の活躍が、病と闘う気力の源となる。 (相島聡司)

=2006/07/09付 西日本スポーツ=


斉藤和 エースの証明 帽子のひさしに「89」


帽子のひさしに「89」

 帽子のひさし裏にそっと書き込んだ「89」。その数字に勝利を捧げた。王監督不在の初ゲームで楽天打線を5安打1失点に抑える完投勝ち。斉藤和がエースの責任を全うした。「きょうは大事な試合になると思っていた。こういう試合で勝てたことは大きい」。霧雨が降りしきる杜(もり)の都から、力強いエールを届けた。

 2つのヤマ場を気迫で切り抜けた。4点の援護をもらった初回。1死一、三塁のピンチを招いたが、フェルナンデスを三振、山崎武を三飛に封じた。6回には無死満塁でリックに中前適時打を許したが、続く苦境は気迫の投球で乗りきった。「ああいう時は開き直るしかない」。インターネットで試合経過をチェックした王監督に心労を懸けさせない投球で、傷口を最小限にとどめた。

 結局、安打を許したのは初回と6回だけで、その2イニングを除けばすべて3者凡退。三振はわずかに2つだが、27アウトのうち、16アウトを内野ゴロで奪った。7回には西村の投前バントを素早く処理し、一塁へ華麗なジャンピングスロー。192センチの巨体をフルに使い、ピンチの芽を摘んだ。

 2日前、王監督から直々に電話を受けた。「任せたぞ」。言葉は短かったが、気持ちは伝わった。20勝を挙げた03年以降、エースとして全幅の信頼を置かれてきた。「監督は入院中も結果を気にすると思うので、安心してもらうためには勝つしかない」。まるで病床から“指名”されたように巡ってきた大事な初戦。グラウンドから離れた王監督の無念も背負い、マウンドに向かった。

 今季4度目の完投勝ちでハーラートップの11勝目。防御率も1、95と再び1点台に返り咲いた。だが、試合後は「個人的なことは関係ない」と一蹴(いっしゅう)。王監督が復活を遂げる日を誰よりも信じ、願うからこそ、いまは感傷に浸る時ではない。

 「監督が戻ってくる時まで上位にいないといけない。この1勝なんかで満足できない」

 この手で王監督を胴上げするまでは―。晩秋の祝杯を笑って酌み交わすためなら、右腕がちぎれてもいい。エースの目がそう語っていた。

 (松田達也)
=2006/07/09付 西日本スポーツ=

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