提橋和男の新管理人のつぶやき
(2006/6/30)

提橋和男の新☆管理人のつぶやき 888

士道不覚悟(1)

最初に新選組のことを書く。
新選組には鉄の掟があった。それを局中法度という。5ヶ条と附則からなるもので土方歳三が考案したものといわれる。

新選組は、それまでの武士の制度、すなわち君主に使えるという武士のありかたとは違って「同志」の集団であった。局長・近藤勇は君主ではなく、隊士は近藤勇に使えるわけではない。烏合の集団である新選組をまとめ、強力な武装集団にするためには、鉄の掟が必要だったのである。

局中法度書

  1、士道ニ背ク間敷事
  2、局ヲ脱スルヲ不許
  3、勝手ニ金策致不可
  4、勝手ニ訴訟取扱不可
  5、私ノ闘争ヲ不可

  右条々相背候者
  切腹申付ベク候也


新選組血風録・土方歳三(栗塚旭)

局中法度書は隊士一同の前で朗読された。この法度書は文久三年(1863)頃のものとされているが、子母沢寛の「新選組始末記」以外に資料はなく、実在が疑われてはいるが、ただ、永倉新八は、ほぼ同様の隊規があったことを記述しており、百名を超える集団に規則がなかったことはあり得ないだろう。
法度に背いたものは切腹を命じられ、拒否および逃亡すればもちろん斬られた。この法度書の要は『士道ニ背ク間敷事』であり、抽象的な表現であり、何をもって士道とするのか書かれていない。全てが、近藤・土方らの裁量にゆだねられていた。『士道ニ背ク間敷事』『局ヲ脱スルヲ不許』で粛清された隊士は多く、まさに鉄の掟であった。


22日衆院金融委員会で
釈明に汗をながす福井総裁

さて、今、世間を騒がせているのが福井俊彦・日銀総裁(70)。通貨の番人であり、独立、中立、公正が求められる日銀総裁が、証券取引違反容疑で逮捕された村上容疑者が率いる村上ファンドに1000万円を拠出していたという。
日銀総裁という公人が、その職責を全うするのにふさわしくない行動をしていたということだ。確かに、福井俊彦氏が法律に違反したわけではない。(もしかしたら、インサイダー情報を最大限に生かせる立場にあった福井総裁であるから、そちらでの違法が見つかるかもしれないが…)
ところで、日銀にも福井総裁が作ったと言われる「職員の心得」がある。もちろん、罰規定はないし、法律ではないのだから違反したとしても罰則はない。日銀という日本国にとって重要な組織の規則として大甘なものであることは間違いないが、福井総裁自らが「心得違い」をしてしまったのが、今回の件である。

これが、新選組の局中法度書に照らし合わせたらどうであろうか。
土方歳三の台詞が想像される。福井氏は、今回の件について、いろいろと述べておられ、結論は「今後とも職責を全うしたい」ということらしい。
土方歳三なら結論は一言。「福井さん、言い訳は見苦しい。武士(公人)として恥じでしょう。『士道ニ背ク間敷事』によって切腹申し渡す」。これでオシマイ。

私は、18歳、高校を出て社会人になったとき、司馬遼太郎の「新選組血風録」に触れた。新選組の鉄の掟「局中法度書」と、そして『1、士道ニ背ク間敷事』が法度書のすべてであり、違反者は「切腹」しかない、ということに身が震えたのを今でも覚えている。

何か事があったら、何を言っても「言い訳」でしかない。武士に言い訳は許されない。「言い訳」事態すでに「士道不覚悟」すなわち『士道ニ背ク間敷事』なのである。疑われるという、それだけで不名誉なことであり「士道不覚悟」ということになる。

さて、ここからは「管理人の体験」記となる。すでにこの「つぶやき」でご紹介したことがあるが、現在ページが閉鎖されているので(近日復活予定)あらためて概要を書いてみてたい。

私は昭和40年、東京都立葛飾商業高等学校を卒業し、三菱樹脂株式会社へ入社した。経理一筋19年、昭和59年に子会社のファイスナンスカンパニーに経理要員として出向した。おりしもバブルの走り。この会社は証券投資で、面白いように利益を挙げていた。
しかし、私は、配属されてすぐに社内の空気から、皆が浮かれていて「異常」なことを肌で感じた。少なくとも、私は、そうした空気に流されないように自分を戒めていた。
東京株式市場は1989年(平成元年)末の3万3895円の高値を最後に、歳明けとともに値下がりが始まり大暴落の道を走ることとなった。
当時、会社は相場の先行きを警戒し、新たな投資を禁じていたが、私の上司は、会社の方針に反して「偽りの稟議書」によって運用を続け、ついに会社に大損害を与えてしまった。本社(三菱樹脂)は、私が経理要員として上司の行動を知らなかったはずがないと連帯責任として処分したかったようであるが、弁護士の「上司の犯罪で部下に罪を負わせられない」という言葉があって、不承不承処分を先延ばしにせざるを得なかったようだ。

証券会社との係争に、私は裁判要員として弁護士の指導の下、資料作りに追われたが、結局、状況の変転により敗訴してしまった。
平成5年6月、赤字を抱える会社を何とかしたいと思っているときに、本社の事業部から「電解還元水」の話があった。研究している医学博士の話を聞いたりして、「これこそ神が私に与えてくれた仕事」と本心から思ったものである。
私自身は、もはや、会社の中で居場所のない人間となってしまったので、電解還元水の仕事に命を賭けようと決意した矢先、本社経理部から、「経理部に戻ってこい」と声をかけられたのである。
経理部に戻れることは嬉しい話ではあったが、私には受け入れることができなかった。

「営業の現場や生産の現場で、1円、2円の利益を挙げるため、また経費の節減のために社員が頑張っているときに、会社に莫大な損害を与えた不祥事に関わった人間を経理部に戻したら、経理部の見識が疑われます。これは、見方によっては経理部の犯罪ですよ。今後、会社経営に対する経理部の指導力が損なわれます。私は、電解還元水の仕事に私の人生を賭けてみます。経理部復帰の話はお断わり致します」と、この話を断りました。(我ながらカッコイイ台詞をはいたと今でも思っている)

結局、リストラされる身となってしまいましたが、私は、今でもこのときの判断は正しかったと思っている。正しい道を歩んできたから、財力も知力もないのに、「水の舞普及会」として、社会に貢献する、神が私に与えて下さったトリムイオンの仕事を、喜びを以て続けている。身を捨てこそ、新しい世界が開ける。

福井さん、男(武士)なら、カッコよくケジメつけようぜ。「是是非非」を国民は見ている。


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